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社会が求める動物看護師とは(2019/3/5配信)

社会が求める動物看護師とは

ペットを取り巻く社会環境と、動物看護師の役割・育成について、ヤマザキ動物看護大学 学長の山﨑薫がお答えします。

2018/11/30付『朝日新聞』朝刊(全国面)において、(公社)日本獣医師会 藏内勇夫会長と本学園 山﨑薫理事長が「社会が求める動物看護師像」について対談を行いました。 掲載記事はこちら:朝日新聞DIGITAL



山﨑 薫 理事長・学長

博士(学術)・動物人間関係学 
「秋田イヌの人文および自然科学的解析-日本アキタとアメリカアキタの違いからわかること-」
担当科目:アニマルアシステッドセラピー論、犬の特性論

1994年学校法人ヤマザキ学園2代目理事長に就任。本学園の動物看護教育と活動がアメリカで高く評価され、2010年カリフォルニア州動物看護職協会の名誉会長に就任。2016年には環境省より「 動物愛護管理功労者大臣表彰」を受賞。
一般社団法人日本動物看護職協会 動物看護師国家資格化推進委員会委員長

Q1ペットは人にどのような効果をもたらすのでしょうか?

内閣府の「動物愛護に関する世論調査」によると、ペット飼育に「生活に潤いや安らかさが生まれる」「家庭が和やかになる」などの癒やし効果を認める人が増えています。また、最近ではジェロントロジー(老齢学)の観点から、ペット飼育が高齢者の健康に与える効果が科学的に検証されるなど、近年人々の幸福や心身の健康に動物が大きな役割を果たしていることがわかります。



Q2ペットの飼育状況はどういう状況ですか?

(一社)ペットフード協会の調査によると2018年のイヌ・ネコの推計飼育頭数は1,855万頭。イヌが890万頭(飼育世帯率12.6%)で横ばい傾向、ネコが964万頭(同9.7%)で微増傾向にあります。最近のネコブームが示すように、2017年よりネコの飼育頭数がイヌを上回りこの傾向が続いております。

Q3ペットを取り巻く市場(産業界)はどういう状況ですか?

全体の飼育頭数は微減傾向にあるものの、(株)矢野経済研究所の調査によると2017年度のペット関連市場(予測)は約1兆5千億円で、この数年微増傾向が続いています。市場は生体販売の他、フード、サービス、医療、用品などで構成されますが、最近ではペットの健康面をサポートするフード・医療、人と快適に暮らすことができるサービス・用品への需要が高まってきています。


Q4超高齢社会を迎えた現在、人とペットの共生社会にはどのような課題がありますか?

ペットは「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と言われ家族の一員、人生のパートナーと呼ばれる存在になっています。社会的存在価値が高まり、住環境や食生活が改善されたことから、これまで以上にペットの長寿化が進んでいます。ペットフード協会の調査によると2018年の平均寿命はイヌが14.29歳、ネコが15.32歳。人間と同様に、ペットの高齢化への対応も急務となっています。

Q5これらの背景から「動物看護師」にどのような期待が高まっているのですか?

動物医療の観点からみると、動物病院での看護にとどまらず、高齢化に伴う訪問看護や在宅ケアに対応した動物のトータルケアがより求められています。また動物関連産業界からの要請として、動物看護の観点から消費者に対し関連商品やサービスに関する的確な情報提供・アドバイスができるスキルが求められています。


Q6「動物看護師」の国家資格化は現状どのような状況になっていますか?

(一財)動物看護師統一認定機構の試験に合格した認定動物看護師の登録者数は現在21,437名(2019年1月)。さまざまな場面で活躍中ですが、動物看護師は現状、民間資格であって国家資格ではありません。2018年5月、(公社)日本獣医師会のご支援のもと、(一社)日本動物看護職協会内に「動物看護師国家資格化推進委員会」が設置され委員長を拝命いたしました。また、同月末には、参議院会館にて開催された「ペット関連産業・人材育成議員連盟」において要請を行いました。本年2月には、超党派による「愛がん動物を対象とした動物看護師の国家資格化を目指す議員連盟」が発足し、 衆議院議員会館において設立総会が開催されました。 会長に衆議院議員の鈴木俊一氏(自民)、幹事長に衆議院議員の高木美智代氏(公明)、事務局長に衆議院議員の鬼木誠氏が選任された後、(一社)日本動物看護職協会のヒアリングが行われ、さらに日本獣医師連盟、環境省、農林水産省、衆議院法制局より、法制化にむけた取り組みについてコメントが寄せられました。 動物看護師の国家資格化に対して多くの方々の賛同を得て、今後の職域拡大と社会的地位の向上を目指し、動物看護師の法制化に向けた活動を精力的に行って参ります。

Q7 ヤマザキ学園ではどんな人材育成を行っているのでしょうか?

2017年12月、学校法人ヤマザキ学園創立50周年を迎えました。創始者山﨑良壽が掲げた建学の精神「生命への畏敬」「職業人としての自立」を基盤に、コンパニオン・アニマルに対する動物看護・ケアの教育研究に邁進して参りました。これまでに約13,000名の卒業生を輩出するに至ります。ヤマザキ学園の歴史は、まさに日本の動物看護の歴史と言えます。
日本で唯一の動物看護学部を有するヤマザキ動物看護大学においては、人と動物の豊かな共生社会を目指し、社会のさまざまなニーズに対応すべく動物看護教育・研究を行っています。また、専門学校では、知識と技術を総合的に学んだ動物のスペシャリストを育成しています。さらに2019年4月、新たに開学する専門職短期大学では、豊富な実務家教員を配置した学内外実習を中心とする充実したカリキュラムを通じて、「動物の生から死」まで多岐にわたる分野の成長が見込まれるペット産業界を担う人材を育成します。
人と動物の豊かな共生社会実現のための環境整備を日々行って参ります。