理事長・学長メッセージ
動物看護師の国家資格化の
次なる使命に向けて
学校法人ヤマザキ学園の創始者山﨑良壽は、1960 年代のペットブームを背景に、イヌの正しい飼い方普及のため、1967(昭和42)年、イヌのケア・健康管理を学ぶ、学校組織としては世界初の『シブヤ・スクール・オブ・ドッグ・グルーミング』を開校。以来、建学の精神に『生命への畏敬』、『職業人としての自立』を掲げてまいりました。
「生命への畏敬」とは、戦争で多くの命が失われる経験をした創始者が、人の生命のみならず、小さな動物たちの生命も尊び、真に平和で豊かな社会の構築をめざすという想いに基づいています。
「職業人としての自立」とは、動物看護・ケアを1つの新しい職業として確立するため、動物看護学という新しい学問の科学的体系が必要であるという創始者の考えに基づいています。また、創始者は「21 世紀は資格の時代を迎える」という考えから、職業人として自立するための国家資格化に向けて、その生涯を捧げました。
私は、父である創始者の遺志を受け継ぎ、1994(平成6)年の学校法人認可と共に理事長に就任し、日本初の動物看護教育の認可専門学校、日本初の動物看護の短期大学、日本初の動物看護学部をもつ大学、日本初の専門職短期大学、日本初の動物看護の大学院を開学してまいりました。動物看護教育のパイオニアとして、本学園は2022(令和4 )年 に創立55 周年を迎え、卒業生は1 万6 千人を超えます。
学園創立以来の念願であった動物看護師の国家資格化は、愛玩動物看護師法が2019(令和元)年に制定され、2024(令和6)年2 月18 日(日)に第2 回目の国家試験が実施されました。3 月1 日(金)現在、愛玩動物看護師名簿に登録された数は17,342 名です。愛玩動物看護師は、獣医師の指示の下に行う採血、投薬、輸液、マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿などの診療補助の他、疾病・負傷した愛玩動物の世話・看護を担い、チーム動物医療の一員としてより重要な存在となります。また、「One Health, One World」の時代を迎え、超高齢社会を迎えた今、動物介在活動の推進や高齢飼育者の支援等においても、愛玩動物看護師の活躍が大いに期待されることでしょう。ヒトと動物の架け橋となる愛玩動物看護師の誕生は、現在動物病院で働いている看護師、獣医師、動物関連産業界、ペットの飼い主、動物と共に生きる全ての人々が待ち望んでいたものです。
本学園は、ヒトと動物が共生する平和で豊かな社会をめざし、動物看護教育・研究の発展と優れた愛玩動物看護師の人材養成に邁進してまいります。
山﨑 薫 理事長・学長
博士(学術)・動物人間関係学
サンフランシスコ州立大学芸術学部卒業。麻布大学大学院獣医学研究科修了。
1994年ヤマザキ学園2代目理事長に就任。本学園の動物看護教育と活動がアメリカで高く評価され、2010年カリフォルニア州動物看護職協会の名誉会長に就任。2016年には環境省より「動物愛護管理功労者大臣表彰」を受賞。
2018(平成30)年(一社)日本動物看護職協会動物看護師国家資格化推進委員会 委員長として愛玩動物看護師法の成立に貢献。
(一財)動物看護師統一認定機構 業務執行理事。全国専修学校動物系教育協会会長。