動物病理学分野
梅村 隆志 研究科長・教授
獣医学博士・獣医師
環境化学物質のヒト安全性を確保することを目的に、実験動物への化学物質暴露による病態発生の毒性病理学的解析から、その毒性発現機序のヒトへの外挿性を考察する。大学院では特に分子病理学的手法を加え、解析結果の精緻化を進める。具体的な研究テーマとして、化学物質誘発による肝臓の再生性増殖性病変における増殖シグナルON/OFF 機構、慢性増殖性病変の腫瘍化への転帰に係る分子機構の解明などを進める。

動物解剖生理学分野
今村 伸一郎 教授
博士(獣医学)・獣医師
骨格構造に関する研究を主体とし、学部卒業研究では、動物の全身骨格標本作製を通し、動物種差による骨格の特徴の比較を行うことと、透明骨格二重染色標本作製にチャレンジしている。これらを踏まえて大学院では、動物固有の骨格の形態が、その動物の活動様式とどう結びついているのか、部位をフォーカスして探求していく。また、透明標本作製の方法論の最適化を図りつつ、どう応用できるか検討していきたいと考えている。

動物内科学分野
富田 幸子 教授
医学博士・獣医師
心臓や血管などの循環器形態の発生を中心に研究を行う。学部ではイヌ、ネコ、カメ、リス、など様々な脊椎動物についての発生、進化、生態そして病態について幅広く研究を進めている。大学院では胚発生の形態形成過程の3 次元レベル解析と分子シグナル解析を合わせた時空間的包括的検討を行う。またMRI やCT 情報に基づいた3 D解析による正常と疾患動物の病態を解析、理解する。正常と疾患を持つ動物の病態を知ることで動物看護実践の一助となるよう研究を指導する。

生物機能開発学分野
長島 孝行 教授
農学博士
生物は驚くような構造・機能性を持っています。ここではその知恵を解析し、モノづくりやコトづくりにと社会実装を目指します。キーワードはSDGsです。例えば、タマムシ等の色は色素ではなく、構造色によるものです。ですので変色することはありません。このメカニズムを解析し、応用することで自ら発色する素材が出来るのです。これなら塗料が必要ありません。

野生動物学分野
村上 隆広 教授
博士(獣医学)
野生動物学の「難しさ」は、野外で自由に動き回る動物たちの姿をどのように把握し、どのようにデータをとるかという点にあります。その「難しさ」は裏を返せば未知な事実に出会える「面白さ」にもつながります。自然度の高い地域から都市部にかけての林地を利用する哺乳類の研究など、フィールドでの“発見”を大切にした研究テーマを選んで指導します。

動物文化分野
島森 尚子 教授
修士(文学)
私が研究のフィールドとしている18 世紀の英国では、自然科学が体系化されて、宗教、哲学、文学、音楽、美術など、同時代の幅広い分野に強い影響を与えた。愛玩動物の品種改良もその結果と言えるが、実は同時代の愛玩動物に関する英語文献は、充分に調べ尽くされたとは言えない。当ゼミでは、主として文字情報からなる一次資料を分野横断的に扱い、動物と人間の関係にかかわるテーマの設定、論文執筆から完成に至るまでの過程を丁寧に指導する。

海洋生物学分野
石川 牧子 教授
博士(理学)
現在の地球上に見られる生物多様性は、長い進化の歴史の中で培われてきました。その進化の駆動力として、地球環境変化や生物間関係(競争、捕食、共生など)が注目されています。私たちの研究室では、特に海洋生物に注目し、生態や、多様なかたち、色彩の形成メカニズムの解明を目指しています。また、それらの進化の道筋、適応的意義や環境変化への応答を探る研究に取り組んでいます。

ペットの社会学分野(ペットロス)
新島 典子 教授
修士(社会学)・専門社会調査士
動物、主にペットをめぐる社会問題に対し、臨床社会学の視点から相互行為論的アプローチ等を採っている。例えば、伴侶動物の介護支援、ペットロスの辛さ軽減に向けた予防や対処等を検討するため、国内外の先行論文、書籍、記事等を分類する文献調査、現地での参与観察、関係者への聞き取り調査等を行っている。この他、動物霊園、老犬老猫ホーム、猫カフェ等動物関連産業も含めた、人と動物の多様な関係性を社会学的に扱っている。

臨床疫学分野
木村 祐哉 准教授
博士(医学)・獣医師・認定心理士・ICD
科学的根拠に基づく動物医療の実現を目指し、動物医療の臨床現場に存在する課題に対して、疫学的な視点からアプローチしていきます。動物がどんな場合に病気になりやすいのか、新しい治療法によって病気の予後はどう変わるかといったものが疫学的研究の代表ですが、質問紙(アンケート)や面接(インタビュー)を活用し、動物病院のスタッフや飼育者の認識がどのように治療方針や飼育方法に影響しているかといった、人間心理の探求にも挑戦しています。
