人と動物の架け橋をめざす本学は、2019年よりWEB限定企画「どうぶつ情報局」をスタートします。
季節折々の人と動物の暮らしにまつわるコラムを配信していきます。
第1弾を担当するのは「動物臨床栄養学 I 研究室」の花田道子教授です。
新年を元気に迎える冬の暮らし方のキーワードは
ズバリ
“冬養生”です。
“冬養生”とは耳慣れない言葉かもしれませんが、冬の寒さ(冬の邪気/寒邪)は腎(腎臓)を傷めやすいので、腎を養うものを食べ、身体の保温に心掛け、乾燥に注意して抵抗力をつけるようにすることです。
食養生:食事で気をつけるヒント、いつものフードに新風をプラス!
冬養生に良いとされている食材をご紹介します。
腎を養う
ナマコ、山芋、豆類、小豆粉、豚腎臓
体を温める
鮭、イワシ、サバ、アジ、羊肉(※)、鶏肉、豚肉、豚腎臓、舞茸、生姜、本くず粉
免疫向上
干し椎茸、鮭、舞茸
体重管理(肥満)
海藻類(甲状腺疾患には使用不可)、本くず粉
イヌやネコに使いやすい食材として、
豆類などの穀類、長芋、ジャガイモ、干し椎茸、豚肉、鶏肉、羊肉(※)などがあげられます。
※羊肉にはアトピー性皮膚炎の痒みを増強させる可能性があるため使用を控えた方が良い場合もあります。
これらを少し足すだけで“冬養生”の味方になります。
ちなみに、ヒトでは体を温める食材としてネギが有名ですが、イヌやネコにとっては有害な成分が含まれているので避けましょう。
この他にも注意が必要な食材があります。
環境省が公開している「飼い主のためのペットフードガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」(PDF)
で詳しく紹介されています。ぜひご参考にしてみてください。
日本のお正月の伝統食『おせち』づくりにチャレンジしてみよう!
おせち料理は新年のはじまりに家族一緒に美味しく、同じもの(食材)を食べる慶びを共有することができます。
我が家は皆で分担し手作りして、新年を迎えます。キッチンにいい香りが漂いイヌやネコもワクワク・・・・・
味見、つまみ食いと笑い声、年末の年中行事です。
でも、食べすぎ(食べさせすぎ)は肥満の元ですのでご用心!
そこで日本の伝統的な食文化、おせち料理の中から、体重管理ができる我が家のメニューをご紹介します。
(いずれもヒトは出来立て熱々が美味しいですが、イヌやネコに与える際には適温まで冷ましてから与えましょう。)
① お雑煮:鶏むね肉のつくね団子、大根、ニンジン、お餅の代わりにご飯少々(お餅と三つ葉はヒトだけ)を入れて出し汁で煮込む
② お煮しめ:干し椎茸の戻し汁で、里芋、カボチャ、ニンジン、レンコン、インゲン豆、椎茸を煮る
③ ウズラの卵(ゆで卵)とプチトマトと王冠型キュウリの串刺し(与える際は串を外してから)
④ なます:大根、ニンジンは先に塩で揉み、酢につけて酵素の働きをストップしてから盛り付ける
⑤ だし巻き卵”親子だし巻き”:鶏むね肉のひき肉をまぜて出汁のみの味付けで卵を焼く
⑥ 野菜サラダ:パプリカ(赤・黄色)とブロッコリーを、自家製無糖ヨーグルトとオリーブ油であえて
②の盛り付けイメージ
③⑤⑥の盛り付けイメージ
④の盛り付けイメージ
ただし、お正月太りにはご用心!!
朝起きたら抱っこして一緒に体重測定を日課にしてみましょう。
肥満気味の場合はご飯、お芋、カボチャ、などの炭水化物は少なくしましょう。
さらに、海藻類(甲状腺疾患には使用不可)、本くず粉を足してとろみスープご飯にしてカサを増します。
運動不足にもなりがちですが、痩せるには運動よりカロリーを下げることが大事です。
──いかがでしたでしょうか?
栄養管理は食材知識はもちろんのこと、毎日一緒に暮らす飼い主さんも楽しんで取り組めるといいですよね。
動物臨床栄養学Ⅰ研究室では、手作りおやつでの肥満予防やヨーグルトを使った口腔内ケアなど、栄養学から考える動物看護を研究しています。
新しい年がヒトもペットも幸せな1年となりますように!
執筆担当教員
花田 道子 教授
博士(獣医学)・獣医師
自然療法を用いた疾病の予知・予防及び動物の治癒力アップをテーマに研究。
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